【ソフトウェア業】事業承継した「負の遺産」を処理し経営改善した事例

事例概要

 

事業計画書を策定して取引金融機関へ説明。
事業計画を確実に達成することで、銀行から評価して頂き、プロパー融資が受けられる企業となった。
また、先代から引き継いだ「負の遺産」についても計画的に処理することで財務内容も改善した。
固有の社名が特定されない表現になっておりますが、情報の性質上ご容赦ください。

お客様が抱えている課題

 

損益面:売上構成が1社に偏っている(全体の7割程度)

    その企業の受注で年間の売上及び利益が極端に左右されてしまう。

 

財務面:借入月商倍率は3ヶ月程度

    先代への貸付金が1.1億円あり、金融機関及び保証協会から常に指摘を受ける状況

 

具体的な相談内容

実現可能な事業計画を策定し、しっかりと実行できる組織体制を構築したい。

1社に隔たった売上構成を改善したい。

先代への貸付金を処理したい。

 

負債状況

金融機関借入  1.2億円

債務超過▲4,500万円

借入月商倍率3ヶ月

業種 ソフトウェア開発業
年商・企業規模 年商3.7億。従業員36名
業績傾向

ピーク時の売上5億円から減少傾向である

金融機関との関係は良好

取り組み

①5ヵ年の事業計画書を作成
②事業計画書を取引銀行へ説明
③事業計画の進捗管理を徹底的に行う。
 ※月に1度、事業計画の進捗について会議を実施
④取引銀行へは1年間、計画に対する報告(毎月10日に試算表を提出、事業の状況説明を行う)
⑤メイン銀行からプロパー融資を受ける
※上記取組と並行して売上構成を改善するために、新規の営業を実施
 3年後には売上構成も主要取引先が5割程度となり、売上自体も3.7億から4.3億へ増加し粗利も改善した。

コメント

今回の事例は事業計画を確実に実行し、銀行からも評価を受け経営改善が成功した事例でした。
ポイントは
①2代目社長が現在の企業の問題点を理解し、「負の遺産」を解消するために事業計画という指標を上手に利用した点
②経営者自身が事業計画書は実行しないと意味がない点を理解し、事業計画を実行できる体制の構築に力を入れた点
③金融機関へ事業計画書の説明を行い、計画の進捗状況を継続して開示していた点
などが挙げられます。
その中でも経営者自身が事業計画の達成のために進捗管理が徹底できた点が挙げられます。
多くの中小企業が金融機関から事業計画書の作成を依頼され顧問の税理士などに作成を依頼しているケースがよくあります。
しかしながら、その事業計画書の殆どが絵に描いた餅になっています。
その理由が、事業計画書自体が金融機関に提出するために作っているということが大きな理由です。
その他にも、事業計画の進捗管理が結果のみの管理となっており、どうしたら達成できるかという前向きな話が
できていないという点も上げられます。
今回の事例では、事業計画書の中に「行動計画」を織り込んでいました。
「行動計画」の中身も、「事業」「業務」「財務」に分けて取組を行いました。
チェックするポイントを細分化することで、成果が上がらない要因と改善しなければならない点が明確になるという
メリットがあります。
事業計画書は作らされていては意味がありませんし、作っただけでも意味がありません。
しっかりと、5年、10年先の企業像、こうありたいと考える経営者の思いを込めた事業計画書を作成しましょう。
そして、進捗管理をしっかり行うことで、はじめて事業計画書は企業の成長・改善に役立つツールとなるのです。
是非、実践してみて下さい。