経営者保証を外す要件 2/2

カテゴリ:経営者保証

 

 

今回は「経営者保証を外す要件 1/2」の続きです。

「1.法人と経営者との関係の明確な区分・分離」については、前回のコラムをご覧ください。

 

 

2.法人と経営者間の資金のやりとりが、社会通念上適切な範囲を超えない

 

 

「社会通念上適切な範囲」とは、

法人の規模や事業内容、収益力等によって各企業で異なります。

 

 

その為、必要に応じて外部専門家による検証結果等を踏まえて、

金融機関等が個別に判断するものとされています。

 

 

例えば、

会社の財務状況に照らして過大な役員報酬が支払われている場合は、

「社会通念上適切な範囲」を超えると判断される可能せいが高いです。

 

 

「社会通念上適切な範囲」という基準を企業に取り入れる体制としては、

役員報酬の決定プロセスのルール化や社内監査体制の確立等があると思われます。

 

 

 

3.法人のみの資産・収益力で借入返済が可能と判断し得る

 

 

今まで中小企業経営者が保証人となってきたのは、経営者個人の資産により、

法人の信用力を補完する手段という側面がありました。

 

 

経営者保証を外すには、経営者が保証人とならなくても

銀行が融資を出せるだけの信用力が法人に求められます。

 

 

そのため、財務状況が悪かったり、業績が悪かったりすれば、

経営者保証を外すことはなかなか難しいです。

 

 

法人による、財務状況および経営成績の改善を通じた返済能力の向上が、

経営者保証を外すにあたって求められます。

 

 

 

4.財務状況の正確な把握、適時適切な情報開示等による経営の透明性確保

 

 

中小企業の決算書は、その信憑性が薄く見られがちでした。

 

つまり融資を受けるために実態と違った、良い財務状況、

経営成績と見せているのではないかという、粉飾決算の疑いです。

 

その恐れから、銀行は経営者に融資の保証をさせていたのです。

 

 

そこで、経営者保証を外すには、正確かつ丁寧に、信頼性の高い情報を銀行に開示し、

説明することによって、経営の透明性を確保することが求められています。

 

例えば、次のような対応が求められます。

 

貸借対照表・損益計算書の提出だけでなく、

決算書の各勘定明細(資産・負債明細・売上原価・販売費明細等)の提出

 

期中の財務状況を確認するため、年に1回の本決算の報告のみではなく、

試算表・資金繰り表等の定期的な報告

 

 

 

5.経営者等から十分な物的担保の提供がある

 

 

5.に関しては経営者保証によらない回収可能性を検討する上で

3.を補完するものであり、ガイドラインも経営者等からの

物上保証等を推奨する趣旨ではありません。

 

 

なお、先に述べた

1.法人と経営者との関係の明確な区分・分離

4.財務状況の正確な把握、適時適切な情報開示等による経営の透明性確保  においては、

公認会計士、税理士等の外部専門家による検証(「中小企業の会計に関する基本要領」に基づいた

信憑性のある計算書類の作成)と、その結果の銀行に対しての開示が求められます。

 

 

経営者保証ガイドラインが2月にスタートする前でも、

経営者が保証人とならないで融資を受けている企業や、

経営者が保証人となっていたものの銀行との交渉により

保証を外すことに成功した企業は、あったのです。

 

 

しかしこのたび、どのような場合に経営者保証なしで融資が受けられるか、

もしくは経営者保証を外すことができるかが明文化されたことにより、

企業は経営者保証を外すために状況を「どうしていったらよいか」

「銀行とどう交渉を進めればいいか?」が分かるようになりました。

 

 

銀行は、自ら経営者保証を外すことは勧めてきません。

 

経営者保証を外したいのであれば、経営者自身がガイドラインに

記載の状況を作り、銀行と交渉していく必要があります。

 

次回は「ガイドラインは事業承継に有効」をお伝え致します。