第4回 保証債務整理で経営者に残る資産 2/2

カテゴリ:経営者保証

 

 

今回は「保証債務整理で経営者に残る資産2/2」では

具体例も含め条件等をお伝え致します。

 

前回のコラムはこちらから

 

 

 

経営者に残す資産の上限

 

 

自由財産以外に経営者に残す資産の上限が決まります。

 

 

再生型であれば、企業と保証人を破産させた場合に比べ、

債務整理による弁済計画の方が、金融機関の回収可能額が大きくなる金額です。

 

なお弁済計画は5年以内で定められます。

 

 

清算型であれば、企業と保証人を債務整理させず、企業をそのまま存続させた場合、

現時点で清算を行うに比べ回収見込み額が小さくなる金額(逆に言うと、

今すぐに清算させた方が、清算が遅れる場合に比べて金融機関の回収見込額が

大きくなる金額)です。

 

 

 

経営者に残す資産の範囲

 

 

最後に、自由財産以外に経営者に残す資産の範囲は次のとおりです。

 

 

(1)現預金(自由財産99万円とは別)、33万円×○ヶ月分

 

 ○ヶ月は年齢によって上限があります。6ヶ月以内(~30歳)、8ヶ月以内(30~35歳)、9ヶ月以内(35~45歳)、11ヶ月以内(45~60歳)、8ヶ月以内(60~65歳)です。

 

 

 

(2)華美でない自宅等

 

 まず、担保に入っていたら残すのは困難です。

 

その場合、どうしても残したいのであれば、親戚や知人に買い取ってもらって

賃借するリースバックという手法を考える必要があります。

 

 

また、自宅兼店舗など、安定した事業継続等に必要であると、

残すにあたって考慮されやすいです。

 

 

(3)企業の事業継続に最低限必要な資産(再生型の場合)

 

 本社、工場など、事業継続に必要な資産です。

 

 

 

具体的例

 

 

A社のB社長は、A社が銀行から融資を受けるにあたって保証人となっています。

なおA社は3つの銀行から合計1億5000万円の融資を受けています。

 

 

業績の悪化がずっと続いて返済ができない期間がずっと続き、

B社長はA社の債務を整理し再生に向かっていくことをとうとう決断しました。

 

 

そして中小企業再生支援協議会に相談に行きました。

なおB社長の保証債務も同時に整理することとしました。

 

 

A社がすぐに破産した場合、銀行は、A社とB社長の資産から3行合計1,000万円

しか回収できないことが算定されました。

 

 

しかしA社の5年間の弁済計画により、今後5年で4,000万円返済できる計画を

立てることができまして、全ての銀行より承認を得ました。

 

 

なお1億5,000万円の融資のうち5年の弁済計画による4,000万円、

B社長の保有する賃貸マンションを売却して返済する2,000万円を除いた

残り9,000万円は銀行に債権放棄してもらいます。

 

 

50歳であるB社長は、3行より承認を得、個人の次の資産を残すことができました。

 

 

 ・債務整理時に残っていた現預金200万円

 ・自宅(担保に入っていない)時価3,000万円

 

 

第4回コラムの「保証債務整理で経営者に残る資産」についてお伝えしてきました。

 

 

債務者保護の観点から見れば、残せる資産が増えたことは良いことです。

 

近年は日本政策金融公庫の融資制度で

「再挑戦支援資金(再チャレンジ支援融資)」というものもございます。

 

 

下記は要件の一部です。

 

  1. 廃業歴等を有する個人または廃業歴等を有する経営者が営む法人であること
  2. 廃業時の負債が新たな事業に影響を与えない程度に整理される見込み等であること
  3. 廃業の理由・事情がやむを得ないもの等であること

 

「経営者保証ガイドライン」を含め、経済の状況として再出発が行いやすい

環境が整いつつあるという状況です。

 

 

一方、金融機関からの目線で言えば、今までは「金融円滑化法」があった為、

リスケジュールの申込があれば前向きに取り組みを行ってきました。

 

 

しかし、金融円滑化法が終了し、極端な方針転換はないとしても今まで通り、

申込を受けた企業に対して金融支援(リスケジュールの延長)を行うかどうかは、

各金融機関の判断に委ねられます。

 

 

判断基準としては、営業利益が「黒字」or「赤字」が1つの基準となるでしょう。

 

 

つまり、本業で利益が出ているかどうかです。

 

 

今後、本業の回復が見込める事業(業種)かどうか?という点も

ポイントかもしれません。

 

 

 

金融機関の考え方として

「再出発が行いやすい環境が整いつつある」

→「再出発を促す」

→「廃業を進める」

→「金融支援を行わない」

という見方もできます。

 

 

極端な見方かもしれませんが…

 

前回のコラムはこちらから

 

次回のコラムは「経営者保証と相続の問題」についてです。