経営者保証と相続の問題 1/2

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経営者保証と相続の問題

 

 

保証人が死亡した場合、

その相続人は保証債務も相続することになる(※)ので注意が必要です。

 

 

その保証債務を相続したくない場合、

相続放棄するか(ただし資産の相続もできなくなります)、限定承認を行います。

 

 

限定承認とは、

プラス財産の範囲内で、マイナス財産を相続する、 ということです。

 

 

相続放棄・限定承認を行う場合、

相続の開始があったことを知った時から3ヶ月以内に、

被相続人(死亡者)の住所地の家庭裁判所に申告する必要があります。

 

 

相続放棄は相続をしたくない相続人が 1人でできますが、

限定承認は相続人全員で行わなければなりません。

 

 

なお相続は子全員が相続放棄をした場合はその親(親がいない場合は祖父母)、

さらに親も祖父母もいない場合は兄弟姉妹に相続されますので、

合わせて相続放棄することが必要です。

 

 

なお通常の相続で、被相続人の子が、被相続人が死亡する前にすでに死亡していた場合、

子の子、つまり孫に相続する代襲相続という制度がありますが、

子が相続放棄した場合は代襲相続の制度は適用されません。

 

 

 

経営者保証において問題となる場面

 

 

経営者の死亡時に問題となるのは、現社長が死亡した時、

その会社を相続人である子が引き継ぐ場面です。

 

 

現社長は銀行の保証人となっているが、その子が保証人となっていない場合、

その子が後を継ぐのであれば子が社長となるため、

いずれにせよ銀行に保証人として入るほかなく、

子は親の保証債務を相続するのと変わりません。

 

 

「経営者保証ガイドラインを活用して、新社長は保証人に入らない、

そして親の保証債務は相続放棄か限定承認する」

という方法もありますが、現実的には困難でしょう。

 

 

なおこの場合、相続人全員に保証債務も相続していることになるため、

新社長のみが保証債務を相続し保証人ともなるよう、

遺産分割協議書の内容に銀行の承認を得ておくか、

他の相続人は相続放棄を行うようにします。

 

 

なおその会社が債務超過となっていたり、赤字が続いてしまっていたりして

将来の見通しが見えない場合など、「子はそのまま会社を引き継いでもよいのかどうか」

が問題となります。

 

 

現社長が死亡した場合、その会社の財務内容や業績が芳しくなく、

資産の相続よりも保証債務を相続することによる負担が大きいと見れば、

子は相続放棄をして後を継がず、会社をたたむことも考えます。

 

 

その時、当然、他の相続人も相続放棄を行います。

 

 

 

連帯保証に関する説明

 

 

前述で保証人が死亡した場合、

相続人は保証債務も相続することになるとお話しました。

 

 

通常、金融機関から融資を受ける際は代表者が

 連帯保証 をしているケースが殆どです。

 

 

この連帯保証とはどのようなものなのでしょうか?

 

 

ここでポイントなのが、

「保証人」と「連帯保証人」では同じ保証人でも全く違う ということです。

 

 

「連帯保証人」とは、「催告の抗弁権」「検索の抗弁権」「分別の利益」がありません。

 

 

それぞれ個別に内容を見ていきましょう。

 

1.

 催告の抗弁権(民法452条)

貸した人が借りた人よりも先に保証人に返済を求めてきた時に

「借りた本人に請求してくれ」と支払を拒むことができる権利

 

 

2.  

検索の抗弁権(民法453条)

貸した人が保証人に返済を求めてきても、

借りた人に財産(預金・上場株式等差し押さえが容易なもの)があるならば、

「借りた人の財産を先に差し押さえてくれ」と要求できる権利

 

 

3.    

分別の利益(民法456条)

数人で保証人をしている(共同保証)場合、

保証人は保証人の頭数で割った額だけを分割して返済すればよい権利

 

 

以上の権利が連帯保証人にはありません。

 

 

つまり、

連帯保証人とは債務者と同等の責任を負う ということです。

 

 

逆に、

「単なる保証人」とは上記の権利の主張ができます。

 

 

「相続人は保証債務も相続することになる」とは、

「相続人はこの連帯保証も相続の対象となる」 ということですね。

 

 

次回は「経営者保証(連帯保証)を相続することに対する予防法」についてお伝え致します。