経営者保証と相続の問題 2/2

カテゴリ:経営者保証

 

 

前回は 経営者保証(連帯保証)は相続財産となる ということをお伝えしました。

 

今回は 経営者保証(連帯保証)を相続することに対する予防法 についてお伝えします。

 

 

 

保証人死亡時に保証債務は引き継がず現金を残す方法

 

 

保証人が死亡した時に、相続人は保証債務を引き継がず、

現金を残すことはできないのでしょうか?

 

 

特によくあるケースとしては、若い社長が亡くなり、その妻と、

まだ学校を卒業していない子が残された場合です。

 

 

その社長の会社は多くの負債を抱えており、

社長がいなければ代わりに経営もできず、

会社はたたもうにも、ただ残された妻と子の生活費が心配です。

 

 

妻と子の今後の生活費のために現金を残すことはできるのでしょうか?

 

 

社長が死亡した場合に保険金がおりる生命保険をかけており、

受取人が妻であれば、現金を妻に残すことができます。

 

死亡保険金は相続財産となりません。

 

 

そのため、契約者と被保険者が同じであれば(ここでは契約者も被保険者も社長個人)、

保証債務を相続しないために相続放棄や限定承認をしても、

妻は保険金を受け取れ、今後の生活費にあてることができるのです。

 

 

このように、保証債務は相続したくはないが、残された家族の生活費のために

現金を残しておきたいのであれば、生命保険を掛けておくことを考えます。

 

 

 

経営者保証ガイドラインと経営者の相続

 

 

なお経営者保証ガイドラインでは、経営者が死亡した場合の保証債務の

相続についての記述は全くありません。

 

しかし、保証人の相続は、相続人が気づかぬ間に大きな保証債務を

抱えてしまいかねない大きな問題であり、知識を持っておきたいものです。

 

 

 

経営者保証と相続の具体的な例

 

 

記例は会社を継続しないことを前提とし、

残された家族にどのように資産(現金)を残すのかを記載しています。

 

では、後継候補(息子及び第三者を含む)がおり、

会社継続を前提とした時はどのようにしたらよいのでしょうか?

 

今からお伝えする例は実際に当社に相談に来られた会社様の例です。

 

 

生命保険には加入しておらず前代表者が急遽亡くなられた例

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年商10億超 借入3億程度 従業員25名 資産超過

 

売上も順調に伸びてきて、自社ビルも建築し、

これから会社も大きくしていこうという矢先に急遽社長が亡くなられました。

 

奥様も会社役員には入っておりましたが、実際の経営には携わっておりませんでした。

 

社内に後継候補者はいたものの、実際の承継についてはこれからという状況であり、

会社の詳細な状況というのは一切理解していない状況でした。

 

社長が急遽亡くなられ

「相続放棄による会社精算をするか」、「相続して会社を継続するか」

で悩まれての相談でした。

 

 

悩まれた原因は「経営者保証(連帯保証)」 です。

 

 

生命保険(経営者保証)に加入していなかった為、

借入はそのままのこっている状況でした。

 

 

奥様は経営に携わっていませんでしたので、10億もの会社の代表者となり、

会社を運営していくことは不可能でした。

 

 

一方、後継候補者は会社の内容もわからぬ状況で会社を引継ぐことへの不安や

借入3億を引継ぐことへの不安があり、代表者となることに難色を示しておりました。

 

 

そうこうするうちに、いたって優良企業であったのに、

会社の先行きを不安視する取引先が増え、売上は前年比からかなり落込みました。

 

M&Aなどによる第三者への譲渡さえ困難な状況になり、

結局は精算の道を選択するという結果となりました。

 

 

生命保険(経営者保証)にさえ入っていれば、会社を精算することなく

今でも会社は継続していたことでしょう。

 

 

経営者として、「相続人は保証債務も相続することになる」ということを理解し、

経営者保証ガイドラインを利用し、代表者保証を外すように金融機関と交渉するか、

それがかなわない状況であれば適切な生命保険に加入しておくことが良いかと思われます。

 

 

併せてこちらの記事もご参考にされてください。

「ガイドラインに準じた融資制度及び手法について」1/2

「ガイドラインに準じた融資制度及び手法について」2/2