銀行が融資しやすい企業になる秘訣(1)
カテゴリ:銀行融資
コラム「中小企業と金融機関」融資編
今回のコラムは「銀行が融資しやすい企業になる秘訣」です。
銀行のほうから飛び込ませる秘訣
銀行から融資を受けるコツは、
① 銀行内部の稟議のルートを押さえること
② 見栄えの良い決算書をつくること
に尽きます。(粉飾決算は絶対にいけませんよ!)
まずはその御社の取引銀行の支店のトップである支店長と関係をつくることが急務です。
ここで可決されたものは、本部に上がっても95%以上の確率で可決されるでしょう。さらに融資を現場で審査する融資係を攻略することも大切です。
融資係は「いかに貸倒れを出さないか」という観点に立って人事考課されているため、基本的には可決の判を出したがらないものです。
金融機関との良好な関係の作り方
彼らを攻略するためには、最低でも3ヵ月に1回の融資係への訪問は欠かせません。
「試算表と資金繰り表を渡したい」などと言えばいくらでもアポイントは取れます。
こうした地道なコミュニケーションは企業力の評価にも直結するものです。
銀行内の営業に当たる得意先係との関係構築も重要です。
得意先係のノルマは「数を増やす」ことです。
つまり、融資の申込を積極的に欲しがっています。
これを利用し、毎月自社に「来てもらう」ことが重要です。
訪問する側は、どうしても「手ぶらではいけない」という心理が働くものです。
このため、プロパー融資のキャンペーンや新しい保証付融資の制度など、有益な情報をくれることが多いです。
時にはこちらから「試算表を渡したいから取りに来て」などと用事を作ってあげることも良策です。
ちなみに実際に融資を受ける際には、保証協会付融資ではなく、できるだけプロパー融資を目指しましょう。
保証協会付融資は貸倒れになった場合でも、その8割を保証協会が負担してくれるため、銀行のリスクが減る分、審査は緩くなります。
つまり「いつでも受けられる可能性が高い融資」です。
この枠はいざという時の為の保険として空けておくべきでしょう。
プロパー融資の審査を勝ち取る為には、銀行が出やすい状況でこまめに実績を作っていけばいいでしょう。
具体的な実績の作り方
具体的には、つなぎ資金、季節資金、賞与資金、納税資金などが該当します。
つなぎ資金は小売、特に建設業において外注費や材料費の支払いが先にあり、工事代金の入金が後になる場合に必要なる資金のことです。
季節資金は在庫の備蓄と販売の時期が異なるために必要となる資金のことです。
これらはいずれも資金使途が明確で、返済期間も短いため、銀行にとってリスクは少ないです。
言わばプロパー融資の登竜門と考えれば分かりやすいでしょう。
こうしたものから着実に返済実績を積み上げ、徐々に金額や期間を上げて枠や期間を延ばします。
いずれ運転資金や設備資金に対してもプロパー融資で融資を受けられるようになるはずです。
さらに、新規銀行には向こうから「飛び込ませる」ことが肝要です。
非常に残念な話だが、見知らぬ企業が持ち込んだ決算書は、誰の目にも留まることなく引き出しの奥に寝かされているのが実情です。
本気で取り合って欲しいのなら、すでにその銀行と付き合いのある経営者や税理士に紹介してもらうのが一番手っ取り早いでしょう。
次回はその他銀行との「良好な関係を作る手法」や「金融機関から見た良い決算書」についてお伝え致します。