銀行が融資しやすい企業になる秘訣(2)
カテゴリ:銀行融資
コラム「中小企業と金融機関」融資編
銀行が融資しやすい企業になる秘訣の続きです。
前回は金融機関との良好な関係を作るための方法などについてお伝えしました。
今回はその続きと金融機関から見た「決算書の見方」貸借対象編をお伝えします。
帝国データバンクの利用
帝国データバンクへ企業情報を掲載されるようにすることも大切です。
実は銀行はここに掲載された情報を参照しています。
といっても、帝国データバンクはいわゆる興信所です。
情報が掲載されているためには、知り合いの経営者等に自社への調査を依頼してみるのも1つのやり方です。
また、その際は最低でも評点50点以上を目指しましょう。
一般的に、決算書をきちんと開示している会社は評価が高くなります。
されに調査員が訪れた際には、数字に表れない自社の強みもしっかりアピールしましょう。
評点は、調査員の主観によるものも大きいからです。
銀行はブラックな会社とは付き合いたがりません。
その他の方法について
このため融資だけでなく、預金口座を作る際にも登記簿等を通じて審査は行われています。
この審査を逆に利用するのも有効な手です。
預金の窓口係は得意先係に必ず情報を流します。
その情報が良いものであれば、得意先係のほうから企業を訪問することに繋がります。
もし皆さんの会社が1行としか取引していないのなら、それは「資金調達のアテが1つしかない」危険な状況を示唆しているとも言えます。
対外的な信用を高める為にも、今すぐ複数の銀行、少なくとも3行以上との取引を開始すべく努めるべきです。
それは単純に資金調達の選択肢が増えるだけでなく、金融機関同士の金利競争が起きることも意味します。
銀行から見て「良い決算書」とは
以前のコラムでもお伝えしたように融資審査の可否の8割は決算書で決まります。
他の部分でどれだけ工夫しても、決算書の内容が悪ければ圧倒的に不利です。
無論、「粉飾決算」は論外ですが、税理士に要望を伝えて可能な範囲で見栄えの良いものをつくる努力は怠るべきではありせん。
では、金融機関が決算書のなかで真っ先にチェックされるものは何でしょうか?
それは貸借対照表です。
とりわけ純資産が必ずプラスでなければなりません。(創業期や1年で純資産のマイナスから純資産のプラスへ改善が見込める場合などの例外はありますが)
ここがマイナスだった場合、融資は困難となります。
実態バランスシートとは
されに言えば、純資産が表面上プラスだったとしても安心はできません。
銀行側は実質債務超過の懸念もしっかりとチェックしています。
本来、純資産は流動資産と固定資産を合わせて総資産から負債を引いたもので表せるものですが、例えば流動資産に含まれている売掛金のうち、不良(回収不可)の疑いがある分はしっかり減額されて計算されます。
その結果、不良の疑いがある売掛金を計上しているときは純資産はプラスであるのに、不良の疑いのある売掛金を差引くと債務超過になってしまうことを実質債務超過と言います。
特に、勘定科目明細の中で、ある売掛先への売掛金が前の決算書と同じ金額であったり、売掛金の「その他」が突出している場合は注意が必要です。
このように金融機関は決算書の「簿価」で評価するのではなく、実態の経営状況も加味して決算書を見ています。
その様に修正された決算書(貸借対照表)を実態バランスシート(実態貸借対照表)といいます。
貸借対照表内の重要指標
重要な指標となるのが自己資本比率です。
「純資産÷総資産」で計算されるもので、中小企業であれば20%は欲しいところです。
最低でも10%は確保できるように努めたいですね。
貸借対照表で次に問題となるのは借入金の部分です。
具体的には「短期借入金+長期借入金」÷月商で算出される、「借入月商倍率」があります。
これは企業の規模に応じて借入金を比較するための指標です。
この倍率が3ヵ月以内に収まっていれば「適正」と判断されますが、3~6ヵ月の範囲だと「多い」、6ヵ月以上だと「過大」と判断され、それ以上の融資を受けるのが困難となります。
(製造業や不動産業など事業を運営する際に大型な設備投資が必要な企業等の例外はあります)
その他、金融機関が嫌がる勘定科目の「仮払金」「短期貸付金」「未払利息」などは
発生しないように注意しましょう。