銀行が融資しやすい企業になる秘訣(3)
カテゴリ:銀行融資
コラム「中小企業と金融機関」融資編
今回のコラムは「銀行が融資しやすい企業になる秘訣」です。
損益計算書についてのポイント
損益計算書について検討していきましょう。 このなかで銀行から注目されるのは営業利益と経常利益です。
(余談ではありますが、経営者は売上総利益を意識しましょう。いわゆる「粗利」ですね)
営業利益は「事業(本業)でどれだけ稼ぎがあるか」を、経常利益は「毎年コンスタントにどれだけ稼ぐ力があるか」を測るための項目であり、言わば企業の実力を反映するものです。
そこで具体的に用いられる指標は、それぞれを売上高でわった利益率です。
中小企業であれば、どちらも最低3%程度は確保しておきたいところです。
一方、当期純利益はあまり問題となりません。
この部分は突発的な特別利益と特別損失で大きく増減するため、返済能力とは別物と考えられています。
信用格付上で重要な指標の解説
他にも、信用格付を決定する上で重要な指標は多数あります。
例えば、安全性という面から言えば、流動比率、当座比率、固定比率、固定長期適合率、自己資本比率などが該当します。
このうち当座比率と流動比率は高ければ高いほど良い指標ですが、固定比率と固定長期適合率は逆に低ければ低いほど望ましいものです。
流動比率
当面の債務である流動負債に対して、これを賄うべき流動資産がどの程度保有されているかを測る指標です。
簡単に言うと、企業の短期的な支払能力を示すものです。
計算式は 「流動資産÷流動負債×100」です。
注意として、厳密に言えば、流動資産内で、預金のなかの担保差入などで拘束されているものや売掛債権のなかの
不良債権や不渡手形及び資産価値を失った棚卸資産などは除外して計算しましょう。
おおよそどの業種においても140~150%の指標を目指しましょう。
当座比率
この指標は当座資産(現金、預金、売掛債権、未収金、短期貸付金など。流動資産から棚卸資産を控除した金額という認識で構いません)と流動負債の割合から流動負債を当座資産で支払う能力がどの程度あるかを測る指標です。
計算式は「当座資産÷流動負債×100」です。
こちらも流動比率で述べた通り、拘束性の高い預金、売掛債権の不良債権等は差し引いて計算しましょう。
こちらも短期的な支払能力を示す指標ですので、100%前後あれば安心と言えます。
固定比率
固定比率とは長期にわたって利用される資産(設備や車などの資産)であり、これに投下される資本も長期に固定化することから、自己資本でどの程度賄われているか測る指標です。
計算式は「固定資産÷自己資本(純資産)×100」です。
理想としては中小企業においては100%以下であることが望ましいです。
固定長期適合率
固定長期適合率とは固定資産が自己資本と固定負債を加えた長期安定資本によってどの程度賄われているかを測る指標です。
計算式は「固定資産÷【自己資本(純資産)+固定負債】×100」です。
目安としては100%以下が絶対条件です。(100%を超えるということは、債務超過を意味します)
実質的には、資金状態の安定度からみて60~80%前後が理想的な数値と言えます。
自己資本比率
自己資本比率とは企業活動に投下される総資本のうち自己資本の占める割合を測る指標です。
計算式は「自己資本(純資産)÷総資本×100」です。
中小企業として目標としては30%を目指したいところです。
先日、「経営者保証ガイドライン」においても記載されていましたが、経営者保証を外す1つの基準として自己資本比率20~30%というのが目安の1つとありました。
経営者保証ガイドラインについて詳細を知りたい方は →コラム「ガイドラインは世の中を変えるのか」
実際は20%前後を目安としていれば経営としては安定していると言えるでしょう。
経営者にはそれぞれ税理士や会計士の先生と相談をしながら理想に近づける努力をして欲しいですね。