銀行が融資しやすい企業になる秘訣(5)
カテゴリ:銀行融資
コラム「中小企業と金融機関」融資編
今回のコラムは「銀行が融資しやすい企業になる秘訣」です。
一方的な関係に陥らないため
最後に、借りる立場にかこつけて銀行の言うことをハイハイ聞いているばかりでは、リスケジュールをつかまされる可能性があるので注意が必要です。
次からその対処法をお伝えしますのでしっかりと押さえておきましょう。
例えば、銀行が「担保追加してください」と言ってきた場合、新規融資の申込み時にこう言われる理由は、純粋に保全が不足しているからです。
何も担当者が思いつきで言っているのではなく、上司の指示に沿って要求しているのだと考えてください。
つまり、向こうも言わざるを得ない状況なのです。
ここは要望に耳を傾けつつも、その見返りが期待できる戦略をじっくりと練るのが肝要です。
言われるまま無条件に担保を差し出してします事態だけは絶対に避けることです。
一方、リスケジュールの申込みや更新時に言われた場合は簡単です。
「担保となるものがありません」と言いきってしまえばいいでしょう。
仮に「親族の不動産がありますよね」などと言われても「応諾がもらえませんでした」と毅然と跳ね返せば問題はありません。
加えて「そちらにだけ担保を入れたら他行の顔が立たない」と言えば、銀行側も何とも言えないのが実情です。
前述のとおり、融資というのは複数の銀行のパワーバランスの下に成ったっていますのでこのような対応をしても問題はありません。
また、銀行側が「追加で資料を出して下さい」と言ってくるのは、先程の新規融資申込み・更新時と、リスケジュール申込み・更新時、それに債務者区分を決めるための自己査定時の3つ場合においてです。
結論から言えば、これに関しては「出さない=マイナス」でしかありません。
必ず出すようにすることに加え、銀行側がどんな背景を持ってその資料を必要としているのか理解しておくようにしましょう。
例えば得意先係のマニュアルでは、融資先の新しい決算書が出るごとにもってくるとこが義務付けられています。
同様に、試算表、資金繰り表も3ヵ月ごとにもらうことが推奨されています。
他にも、建設業ならば受注工事明細などが重要視されていますし、勘定科目内の「その他」の明細は粉飾を疑うために、受注の契約書はつなぎ融資での資金使途の把握や事業計画書の裏付けで資料することが銀行によっては決まっています。
それらはいつ提示を求められてもいいように、日ごろからベストの状態で用意しておくことが重要です。
融資に付き合ってくれといわれたら?
では「融資に付き合ってください」と言われた場合はどうでしょうか。
よくある場面ですが、これは得意先係が銀行の本部からノルマを課せられているからに他なりません。
大抵銀行の各支店には半期(4月~9月、10月~3月)ごとに融資の平均残高のノルマが課せられています。
例えば「貸付期間が3年以上なら受ける」「金利を2%から1.5%に下げてくれ」など、より良い条件の融資を引き出してしまえば良いのです。
この要求が以降の融資のスタンダードにもつながるため、思い切った駆け引きが有効となります。
何より重要なのは、銀行との建設的な付き合い方です。
場当たり的に立ち回らず、戦略を見につけ、日々プラスの関係を意識的に構築していくことが重要です。
まとめ
今回は「銀行が融資しやすい企業になる秘訣」ということで、5回に分けてお伝えしてきました。
金融機関と前向きな関係を構築するポイントは以下の4つでした。
① どのような決算書が好まれるのかを知る
② 定期的な情報の公開(毎月の試算表の提出など)
③ 金融機関の融資の仕組み(稟議の仕組み)を知る
④ 金融機関の内情を知る
相手のことをしっかりと理解することが、良好な関係を築く(金融機関を攻略する)第一歩であると感じて頂ければ幸いです。
なにはともあれ、まずは毎年1度の決算書でしっかりと利益を出すことが前提です。
日々の利益の積み重ねが良い決算書に繋がります。
日々の活動を充実したものにし、中小企業にはまだまだ厳しいこの時代を乗り越えていきましょう。
当社も「全ての中小企業を元気にする」という企業理念のもと少しでも中小企業のお力になれれば幸いです。