債務超過企業は本当に銀行融資が受けれないのか?

カテゴリ:銀行融資

 

コラム「中小企業と金融機関」融資編

 

 

今回のコラムは「債務超過企業は本当に銀行融資が受けられないのか?」です。

 

 

債務超過に見えない実質債務超過とは

 

 

債務超過とは、決算書の貸借対照表の純資産の合計がマイナスの状態です。

 

つまり、会社の資産を外に売り払っても負債だけが残る状態です。

 

また、決算書の表面上は債務超過でなくても、「資産の部」に計上されているものに、

資産価値がなければ、銀行はそれを差し引いて見ていきます。

 

 

具体例

 

 

例えば、売掛金が2,000万円が決算書上に計上されているときに、そのうちA社に対する売掛金が

1,200万円あり、そのA社が倒産して、貸倒れとなっている場合。

 

銀行はその事実を調べ、A社への売掛金1,200万円は資産価値なし見なします。

 

貸借対照表の表面上は純資産が700万円あり債務超過でなくとも、その1,200万を差し引くと、

実質的な純資産合計は▲500万円となります。

 

この場合、表面上は債務超過でなくとも、実質債務超過として、そうした債務超過企業に対し、

銀行は新規融資を行うことが困難となります。

 

 

債務超過でも融資を受けられる企業とは

 

 

債務超過、実質債務超過の企業に対し、銀行は新規融資を出すことは困難と述べましたが、

実際には新規融資を出すケースがあります。

 

それは以下のようなケースです。

 

①    メイン銀行として長年融資取引があり、実質債務超過状態となっても引き続き融資をしている

 

②    高い評価の不動産担保をみて、融資を出している

 

③    債務超過状態になってから日が浅く、債務超過は一時的なものであってすぐに債務超過状態を

   脱するだろうとみて、融資を出している

 

④    債務超過でも直近では利益を計上できており、返済能力がある企業とみて融資を行っている

 

⑤    経営改善計画書が提出され、債務超過を脱する道筋を銀行に示すことができており、

   それをみて銀行は融資をおこなっている

 

 

債務超過企業は新規融資が止まりがち

 

 

しかし、基本的には、債務超過企業への新規融資は難しいものです。

 

もしあなたの会社が債務超過で新規融資を受けていたとしても、

銀行はいつ新規融資を止めるかわかりません。

 

銀行が融資を引き続き出す企業であるためには、経営改善計画書を銀行に提出し、

利益を計上することで、債務超過状態の解消に向かっているとアピールし続けるしか

ありません。

 

もし、新規融資を止められてしまったら、すぐにリスケジュール、つまり毎月返済の減額

、猶予を行って資金繰りを立て直すことも選択肢の1つとして頭の片隅に置いておきましょう。

 

新規融資を止められてしまっても、会社を立て直すためにできることは数多くあります。

 

経営者はあきらめることはありません。

 

 

本当は債務超過なのに粉飾決算をしている

 

 

銀行にとって厄介なのは、本当は債務超過であるのに、「粉飾決算」「債務超過」でないように

見せているケースです。

 

そのような企業の決算書の特徴は、売上が上がっていないのに、貸借対照表の「資産の部」で、

売掛金や棚卸資産が大きく膨らんでいることが多いです。

 

一方、「負債の部」でも借入金が大きく膨らんでいます。

 

売上高が上がっていないのに、売掛金は大きく増えている。

 

これは売掛金の貸し倒れが発生したり、売掛金の回収期間が長くなるなど、

何か特別な理由がない限り、あり得ないことです。