取引採算は融資スタンスの一要素とは(1)

カテゴリ:銀行融資

 

 

コラム「中小企業と金融機関」融資編

 

 

今回のコラムは「取引採算は融資スタンスの一要素とは」です。

 

 

取引採算を左右する預金量や手数料

 

 

債務者区分や、他の銀行の融資スタンスとのバランスなどとともに、その企業からどれだけの収益が得られるか、つまりその企業と付き合うことによる銀行の取引採算(収益及び利益)も、銀行の融資スタンスを決める要素の1つとなります。

同じ1,000万円の融資でも、金利3%の融資と、金利1%の融資では、銀行としては当然、利息は金利3%の融資から多く得ることができます。

しかし、金利3%となっているのは、その企業への融資の貸倒れの可能性が高いからなのかもしれませんから、一概に金利が高い融資であれば、銀行は出しやすいことにはなりません。

 

それでも金利は、取引採算を左右する大きな要素の1つです。

 

他にも、銀行がその企業と付き合うことによりどれだけ利益を得られるかを左右する要素はあります。

例えば、「預金量」や「手数料」です。

それではこれらを1つずつ見ていきましょう。

 

預金量

 

 

銀行は、預金者から低い金利でお金を預かって、それを高い金利で貸し付けて、その利ザヤで利益を得ています。

貸付を行うための原資が預金になるので、預金量の多さも、その企業と銀行が付き合うメリットの1つとなります。

また銀行は、その企業へどれだけの融資を行っているか、一方どれだけの預金を預かっているか、それぞれの融資金利と預金金利は何%であるかで、その企業との取引採算を見ているわけです。

取引採算を図る方法で、最も原始的なものが「実行金利」です。

実行金利は次のように計算されます。

 

 

実行金利とは

 

 

【実行金利の計算式】

実行金利=【(融資額×融資利率)-(預金額×預金利率)】÷(融資額-預金額)

 

例えば、融資額が5,000万円、融資利率2%、預金額が2,500万円、預金利率0.1%の企業があるとします。

 

実行金利

【(5,000万円×2%)-(2,500万円×0.1%)】÷(5,000万円-2,500万円)=3.9%

 

この例で言うと、実行金利とは、その企業からもらえる純利息(融資利息-預金利息)97.5万円、

その企業への純の融資額(融資額-預金額)2,500万円、そして純の利息から、純の融資額を割ると、その企業への実行金利3.9%を算出できます。

つまり、銀行は、その企業から実質3.9%の利息収入を得ていることになります。

ただし実行金利の考え方には、問題点があります。

それは、銀行はその企業への融資からいくら儲かって、預金からいくら儲かったか分からないことです。

また、預金額が融資額を上回ると、分母はマイナスとなり、おかしなことになります。

実行金利のこのような弱点を克服するために、今実行金利に代わって銀行で主流となっているのは、「本支店方式」という考え方です。

 

「本支店方式」では、その企業の取引採算は、次のように計算されます。

 

次回は「本支店方式」について見ていきましょう。