取引採算は融資スタンスの一要素とは(2)

カテゴリ:銀行融資

 

 

コラム「中小企業と金融機関」融資編

 

 

今回のコラムは「取引採算は融資スタンスの一要素とは」です。

 

 

本支店方式とは

 

 

【取引採算の計算式】

【融資額×(融資利率-本支店レート)+預金額×(本支店レート-預金利率)】÷融資額

 

銀行の支店は本部から資金を借りてきてその資金を企業に融資し、一方でその企業から支店が預け入れた預金をそのまま本部へ預ける、という考え方です。

 

例えば、融資額が5,000万円、融資利率2%、預金額が2,500万円、融資利率0.1%の企業があったとします。

本店から資金を借りるレート、本支店レートは0.5%だとします。

 

銀行の支店は、本部にある資金を0.5%で借りてきて、その資金をそのまま企業へ融資します。

一方で支店はその企業から預金を2,500万円預かり、そのまま本部に金利0.5%で預け入れます。

 

そうすると、その支店は融資では

融資額×(融資利率-本支店レート)=5,000万円×(2%-0.5%)=75万円

儲かり、一方預金では、

預金額×(本支店レート-預金利率)=2,500万円×(0.5%-0.1%)=10万円

儲かることになります。

 

そして支店が儲けた、75万円+10万円=85万円を、融資額5,000万円で割ると1.7%となり、この支店、そして銀行は、この企業とは1.7%の取引採算となります。

 

実行金利の考え方と違い、本支店方式では、分母がマイナスとなることはなく、この企業への融資による収益はいくらで、預金による収益はいくらであるかを把握することができます。

 

まとめ

 

銀行がある企業への融資と預金で、その企業との取引採算をどのように把握するかを見ていきました。

ここから言えることは、実行金利、本支店方式いずれの方法においても、融資量とともに、預金量が多いほど、銀行にとって取引採算は高くなるということです。

当然ですが、融資金利が高いほど取引採算は良くなります。

融資の一方で、預金を多く預けて頂けてくれる企業へは、銀行は融資をしやすくなります。

銀行は融資先企業へ、当座預金や普通預金の残高を平均でいくら以上に保つようにしておいてくださいと言ってくることがあります。

そう言ってくる背景にはこのような取引採算の計算があるのです。

 

 

手数料

 

 

銀行は利息収入とともに、手数料収入を重要な収益源としています。

企業が、銀行へ支払う手数料とは、振込手数料、手形取立手数料、外国為替手数料、インターネットバンキング手数料など、いろいろあります。

そして銀行は、融資先企業ごとのファイルに、毎月その企業からいくらの手数料収入があったかを記録しています。

企業に融資をすると、企業はその銀行で振込取引や手形取立取引を行い、手数料を多く落としてくれます。

銀行と企業がそのような関係にあるのであれば、企業の業績が多少悪化しようとも、総合的な取引採算を見て、銀行はその企業へ融資を行いやすくなることもあります。

 

 

取引採算は銀行の融資スタンスの一要素

 

 

このように、銀行はその企業からいくら収益を得られるか、取引採算を重視しているのかは明らかです。

しかし、その企業が倒産し、融資したお金が返ってこなくなれば、銀行は大きな損失を出してしまうことになります。

そのため、企業の業況、倒産の可能性は、銀行が融資スタンスを決める最大の要素であることには変わりありません。

しかし、この取引採算によって、企業の業況が多少悪化した時に、銀行は新たな融資をしてくれるか、してくれないか、銀行が判断を左右する1つの要素となる可能性は十分にあります。

融資を受けることばかり考えるのではなく、融資を受けている各銀行間で預金をそれぞれどれだけ置いておくか、各種手数料はどこの銀行にどれだけ落とすようにするのか、そして付随取引や関連会社・従業員取引まで含めて、融資を受けている銀行が、取引採算が少しでも良くなるようにするにはどうするか、考えてみるとよいでしょう。