新規銀行の融資借り換え提案についての対処法 1/2
カテゴリ:銀行融資
今回のコラムは「中小企業と金融機関」融資編
「新規銀行の融資借り換え提案についての対処法」です。
低金利の融資の借り換え提案があった
融資を普通に受けられる企業が時々遭遇するのが、
今まで融資を受けたことのない新規銀行から
「金利を低くするから既存の銀行の、融資の借り換えをしてみないか」
と提案されるケースです。
例えば、次のような借入状況の企業があったとします。
【A銀行】
借入4,000万円 金利1.8%
【B銀行】
借入3,000万円 金利1.5%
【C銀行】
借入1,200万円 金利1.0%
単純化するため、各銀行からは1本ずつの融資、
そしていずれもプロパーの融資(信用保証協会保証付でない融資)を受けているものとします。
このような状況で、新規のD銀行が、
「今、金利キャンペーン中です。A銀行の融資4,000万円を借り換えし、
融資5,000万円を1.0%で受けてみませんか」
と提案してきたとします。
この場合、D銀行の提案通り、A銀行からの融資4,000万円は
全て借り換えて、D銀行から借りてもよいでしょうか?
A銀行は、金利は多少高くても、長年その企業に対して
積極的に融資をしてくれたメイン銀行です。
しかしこの企業が、低金利の魅力から、D銀行で5,000万円の融資を受けて、
その資金でA銀行からの融資4,000万円をすべて返済したとします。
そうすると、A銀行は当然、良い思いはしません。
A銀行は、今までの長年の付き合いは何だったのか、という勘定を抱いてしまいます。
借り換えは得意先係全員の連帯責任に
私が銀行員時代、先輩の行員が、担当企業の融資をライバルの銀行で
借り換えられてしまったことがありました。
こういう場合、企業は借り換える前に銀行に
「今度、○月○日の銀行に借り換えるから手続きはよろしく」などと言わないものです。
借り換えるほうの銀行で融資が実行され資金が預金口座に入った後、
借り換えられるほうの銀行に返済用の資金が一括で振り込まれ、
当日にいきなり企業が銀行に訪問し、「この資金で既存の融資を返済してくれ」と言われるのです。
私の先輩は、外に出て営業活動中に支店から電話が入り、
「株式会社○○○○の社長が店頭に来られて、融資を一括で返済したいと言ってきています。
もう返済資金も振り込まれてしまっているので、社長の申し出は受けざるを得ません。
支店長は怒っていますよ」と言われました。
そして夕方、得意先係の行員が全て支店長に呼ばれ、
支店長から「なぜ今まで、他の銀行の動きに気づかなかったんだ!」と叱られました。
得意先係全員の連帯責任として、2時間も説教を受けました。
このくらい銀行としては他の銀行に借り換えられるのは屈辱的なのです。
そして銀行としては他の銀行に借り換えたその企業を「今までずっと付き合いをしてきたのに、裏切られた」と思い、2度と融資を出さなくなってしまうことも多いものです。
このように、借り換えられるほうの銀行から2度と融資を受けなくても構わないのでしたら、
他の銀行で借り換えてしまっても構いませんが、そうでなければ、しない方が良いかと思います。
こちらも併せてお読みください。
↓ ↓ ↓