新規銀行の融資借り換え提案についての対処法 2/2
カテゴリ:銀行融資
今回のコラムは「中小企業と金融機関」融資編
「新規銀行の融資借り換え提案について」です。
今回で「中小企業と金融機関」融資編は最終回です。
それでは前回の続きを見ていきましょう。
新規銀行からの融資提案を生かす
先の例に戻ります。
他の銀行での借り換えは駄目というものの、D銀行の金利1.0%は魅力です。
この場合、良いやり方があります。
D銀行からます融資の提案書をもらいます。
その提案書には、融資金額5,000万円、金利1.0%と記載されていることでしょう。
そして、その提案書をもってA銀行に話をするのです。
D銀行からの提案書を見せながら、A銀行の人に対し、
「D銀行から、金利1.0%の提案をもらっています。A銀行からの融資の全てを
借り換えてはどうか、という内容です。しかし、A銀行には長年お世話になっているから、
D銀行で借り換えするつもりはありません。しかし、D銀行の金利1.0%に比べ、
今のA銀行の融資金利1.8%は高すぎのように感じます。もう少し何とかならないものでしょうか」
と話していきます。
こういう話をすると、A銀行としては多少なりとも危機感(他の銀行から低い金利の融資提案が来ていて、
自分の銀行はのんびり構えていられないという危機感)を抱き、金利を、1.0%までいかなくとも
ある程度までは引き下げてくれることが期待できます。
しかし、A銀行へのこのような話し方は、銀行に気を遣ったやり方です。
銀行に対しもっと強気にでることのできる企業は、次のように言ってみましょう。
「D銀行から、金利1.0%の提案をもらっています。A銀行からの融資すべてを
借り換えてはどうか、という内容です。A銀行には長年お世話になっていますが、
ただA銀行の融資金利1.8%は、D銀行に比べてあまりにも差がありすぎます。
金利引下げを考えてくれないと、D銀行の提案を考えざるを得ません。」
ここまで言えば、A銀行は慌てることでしょう。
そして金利を引き下げてくれるかのうせいが高まります。
また引下げ幅も、大きくしてくれる可能性が高くなることでしょう。
借り換えの提案のあった銀行に対しては
そして、この交渉がうまくいき、A銀行が融資金利を引き下げてくれたとします。
一方で、せっかく提案をくれたD銀行をどうするか、考えてみます。
この場合、D銀行からは、他の銀行の融資を借り換えするのではなくとも、
単独で1,000万円でも2,000万円でも、融資を受けておいたほうがよいでしょう。
D銀行が提案してきた5,000万円は、D銀行がその企業に対し、
これだけの融資は出せますよ、という評価です。
他の銀行の融資を借り換えるのではなくても、
単独で5,000万円の融資を受けることはできるはずです。
ただ、単独でそれだけ借りる必要がなければ、今後のD銀行と付き合いをしていくことを考えて、
今後の実績作りのため、1,000万円とか2,000万円程度、借りておくのです。
そうすれば、取引銀行を増やすことができます。
取引銀行は多いほどよいのは、次の2つの理由からです。
1. 銀行が将来融資を渋ってきたときのリスク分散の観点から、
融資を受ける銀行の選択肢を多く持っておいた方がよい
2. 取引銀行の数が多いほど、銀行間の競争が働き金利が下がりやすくなる
このようにして、新規銀行の提案を利用して、既存の銀行の融資金利を引き下げ、
一方で借り換えではなく単独で新規銀行の融資をうける。
そうやってあなたの会社の銀行取引状況や新規の金融機関開拓を行っていってください。
「中小企業と金融機関」融資編 まとめ
今回は「中小企業と金融機関」融資編として全10タイトルのコラムをお伝えしてきました。
今回のコラムで経営者の方にお伝えしたかったことは以下の3点です。
1. 金融機関のこと(融資の流れ、見られるポイント)を理解する。
2. 「決算書」の重要性を理解する。
3. 金融機関と良好な関係を構築する方法を理解する。
以上のことを理解するだけで、今後の金融機関との関係性は改善され、
融資等についても今までよりもスムーズに出るかもしれません。
とは言うものの、何度もお伝えしているように金融機関の融資審査の8割は「決算書」です。
日々の業績向上、経営改善に努め、その上で金融機関の内情、審査のポイントを理解し、
担当者との関係作りを行っていけば、鬼に金棒です。
金融機関から融資のお願いをされる(金融機関から営業に来てもらえる)企業を目指して
業績向上、経営改善に邁進していきましょう。
前編はこちら
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