融資の為に行った粉飾決算が企業に起こす問題とは?

カテゴリ:銀行融資

 

 

ここでは 「融資の為に行った粉飾決算が企業に起こす問題とは?」

についてご紹介します。

 

 

 

粉飾スパイラル

 

 

粉飾決算を行ってしまうのは、誰が悪いのでもありません。

経営者が悪いのです。

 

 

「今、うちの会社は5,000万円、利益を上乗せしている。

5年前に顧問の税理士に勧められて、粉飾決算を始めてしまった。

融資は受けられたが、あの時、税理士が粉飾決算を勧めなければ・・・」

 

 

こう言われた場合、私はその経営者にこう答えます。

 

 

「いや社長、5年前に赤字の状況で融資を受けたいと

税理士に相談したのは社長でしょう。

誰が悪いのではなく、あなたが悪いのですよ。

むしろあなたは、税理士と銀行に迷惑をかけているのですよ。」と。

 

 

 

多くの税理士は、顧問している企業の社長から

粉飾決算を作るよう要求されても、応じないでしょう。

 

 

しかし中には、社長の要求のままに粉飾決算作りに

加担してしまう税理士もいます。

 

 

ただ発端は、その企業の経営者なのです。

ではそもそも、粉飾決算は銀行に気づかれないものなんでしょうか。

 

 

それが、結構、気づかれないものです。

 

 

私が銀行員時代、7年半の中で融資先企業の

粉飾を発見したのは、2回だけでした。

 

 

そして粉飾決算が発覚したら、銀行は、

その企業に新たな融資は出さず、既存の融資の

回収をはかってきます。

 

 

そして粉飾決算の悪質度が高ければ、刑事、民事で訴えてきます

 

 

しかし、

粉飾決算による最大の問題は、通常は融資を受けられないような企業が、

粉飾決算で融資を受けることによって経営者は安心してしまい、

経営改善を後回しにしてしまうことです。

 

 

粉飾決算を作る

 ↓

融資を受ける

 ↓

資金が尽きてきて、もっとひどい粉飾決算

(実際とのかい離が大きい粉飾決算)を作る

 ↓

もっと融資を受ける

 ↓

「粉飾のスパイラル」

 

 

 

このようなことを繰り返し、粉飾の上乗せ金額がどんどん膨らみ、

また借入額がどんどん膨らんでいってしまうという

「粉飾スパイラル」に陥ってしまいます。

 

 

粉飾決算は、赤字であるものを黒字に見せかけることであり、

それで受けた融資は、事業の赤字で流出した現金の穴埋めを

することにまわってしまいます。

 

 

赤字の穴埋めを繰り返していけば借入額は

どんどん膨らんでいきます。

 

 

ただ、借入が膨らみ続ければ、いつかは新規融資は止まります。

 

 

例えば、

年商が5億円の企業が、借入金を5億円→10億円→20億円・・・

と膨らませ続けられないですよね?

 

 

そして気づいた時には、膨大な借入金が残されていることになります。

 

 

粉飾決算を行わなければ、借入額が3,000万円のところで

融資が受けられなくなり、そこから経営者がなんとかしようと

再生に向けスタートが切れたかもしれません。

 

 

それを粉飾決算により借入を3億円まで膨らませ、

そこでやっと新規融資が受けられなくなれば、

借入額3億円のところからの再生へのスタートとなるのです。

 

 

借入額が3,000万円の状態と3億円の状態、

どちらの状態からの方が、企業は再生しやすいでしょうか。

 

 

やはり、事業が赤字になるということは、その原因が必ずあるはずです。

たとえば、市場環境、円安、資材の高騰、取引先の倒産などなど・・・

 

 

それが一過性のものなのか、慢性的なものなのか。

 

 

慢性的なものであれば、根本的な原因を分析し、

その改善をすることが一番の近道です。

 

 

粉飾決算を行って融資を受けて根本の改善を先延ばしにすれば、

会社の状況は増々悪くなります。

 

 

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