粉飾決算はなぜ銀行に分かってしまうのか?
カテゴリ:銀行融資
「粉飾決算はなぜ銀行に分かってしまうのか」について
ご紹介いたします。
粉飾決算は銀行から融資を受けやすくするために、
赤字を黒字に見せたり、黒字額を大きく見せたりすることです。
粉飾決算には、次の2つの型があります。
・1決算書型
・2決算書型
1決算書型粉飾決算では銀行はほとんど分からない
また、この事例ではどちらも2決算書型粉飾決算ですが、
1決算書型粉飾決算であれば、銀行はほとんど分かりません。
しかし、
銀行は決算書、それぞれの勘定科目が、実際にそれだけの資産価値があるのか、
一つ一つ精査して、実態の貸借対照表はどうなのか、見ています。
そこで実態の数字に引き直されるのですが、
ただこれは粉飾決算を見破ったというよりも、
実態の数字に引き直した、という表現の方になります。
企業は、売掛金が貸倒れて不良資産になったり、
貸付金や仮払金が返ってこないことによって
不良資産になったりして、貸借対照表に計上される資産の実態価値は、
き損してしまうことがよくありますが、これは粉飾決算というよりも、
貸倒れを今まで損失として計上していなかった、ということになります。
このように、1決算書型粉飾決算は、
粉飾なのか、それとも資産価値のき損なのか、分かりにくく、
粉飾決算という表現を適用するかどうか、難しいのです。
一方で2決算書型粉飾決算は、実際の決算書と、
粉飾を行った決算書が存在するために、
明確に粉飾決算という表現が適用されるのです。
だから、
粉飾決算の判明は、ほとんどの場合、2決算書型粉飾決算で、
となります。
しかし
1決算書型粉飾決算でも、融資の審査時や、
企業の債務者区分や信用格付を決める時、
実態の貸借対照表となるように銀行は精査するため、
そこで実態に引き直されたら、実態の資産価値で見た決算書となり、
それによって今後の融資審査がなされるため、
その実態の財務内容が芳しくないものであれば、
今後融資を受けることが困難となります。
また、たいていの銀行には、粉飾決算の疑いを
点数化するシステムがあり、
それで融資先企業の決算書を分析しています。
それで、粉飾決算の疑いが強いと見られてしまえば、
銀行から警戒されてしまうことになります。
例えば、
この業種では売掛金は売上の何か月分が標準、というのがあり、
売上に比べて売掛金が多いと、そこに粉飾決算が隠れていると見られ、
粉飾決算の疑いが濃くなってしまうのです。
粉飾決算によるひずみ
粉飾決算を行っていると、赤字を黒字に見せるため、
つじつまを合わせるために、貸借対照表のどこかで
ひずみが出てきてしまうことになります。
特に、赤字が続き、それを全て黒字に見せているなら、
期を追うごとに、そのひずみが大きくなってきます。
分かりやすいのが、月商に比べた借入金総額の規模です。
赤字は現金の流出をなるため、
その流出を補てんするには、借入をするしかありません。
つまり、赤字は借入金に化けるのです。
毎期毎期赤字であると、粉飾決算で毎期毎期黒字に見せるとしても、
借入金はどんどん膨らんでしまうことになります。
売上規模は変わらないのに、また大きな設備投資もしていないのに、
借入金がどんどん大きくなっていくのは、
粉飾決算を行っている企業によく見られる現象です。
しかし売上が変わらないのに、
永遠に借入金を増やし続けることはできません。
粉飾決算で融資を受け続けても、それでさえも融資が
これ以上受けられなくなる時期が、必ず到来します。
その時にはじめて、今まで粉飾決算を行って
融資を膨らまし続けてきたことを後悔しても、
その時に残るのは、大きくふくらんだ借入金なのです。
粉飾決算を行わなければ、業績が悪くなれば銀行が融資を出さないため、
早い時期に経営改善の取組をスタートすることができ、
借入金が小さい時期に経営改善を行うことができます。
これでも粉飾決算をやって融資をふくらまし続けるのか、
それとも早い時期に経営改善をスタートさせるのか、
経営者の考え方一つです。
↓こちらも良く読まれています。
――――――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――――――