融資の一本化とリスケジュール(2)

カテゴリ:銀行融資

 

 

コラム「中小企業と金融機関」銀行取引対応編

 

 

今回のコラムは「融資の一本化とリスケジュール」です。

 

 

リスケジュールと一本化の違いとは

 

 

融資の一本化とは、複数の融資を、まとめて借り換えて一本化すること。

 

その目的のほとんどは、一本化によって毎月の返済額を減らすことです。

 

一方、リスケジュールとは、今ある融資の返済金額を減額、もしくは返済を猶予してもらうことです。

 

一本化でもリスケジュールでも、返済金額を減額するという点では同じですが、一本化では新たな融資が発生するということ、リスケジュールでは新たな融資が発生せず既存の融資の返済金額を減額もしくは猶予すること、となります。

 

リスケジュールを行うと基本的に条件変更となり、銀行が企業に付けている信用格付が低下します。

 

一本化では新たな融資による借り換えであり信用格付は変化しませんが、場合によっては実質的なリスケジュールと銀行に見なされて信用格付が下がってしまう場合がありますので、事前にしっかり銀行と話し合うことが必要です。

 

 

中途半端な返済減額は行わない

 

 

また、私の会社が頂く相談で多いパターンが、「すでにリスケジュールはやっているのだが、それでも資金繰りが厳しい」というものです。

 

なぜそうなってしまったのか、その理由を考えてみます。

 

資金繰りが厳しい企業では、特に毎月の銀行への返済負担が重く、その返済金額を毎月0円近くまですると、通常であれば資金繰りは楽になるはずです。

 

確かにリスケジュールを行うと、現金の流出はだいぶ抑えられるでしょう。

 

しかしリスケジュールを行うと同時に、事業の赤字を黒字にする対策を取る必要があります。

 

そしてリスケジュール後、黒字にできた企業。それでも資金繰りが厳しい場合、よくあるケースは、リスケジュールが中途半端というケースです。

 

返済金額の減額が十分にできていないのです。

 

例えば毎月300万円の返済をしていたとして、それを銀行と交渉して毎月100万円の返済に抑えてもらったとします。

 

しかしそれで良いのは、毎月100万円以上の現金が生み出されるほど、事業で利益を出している会社です。

 

リスケジュールを行う会社の多くは、そんなに利益を出せないもしくは赤字だから銀行の審査が通らなくなり融資が受けられず、リスケジュールを行っています。

 

そこで毎月100万円の返済までにしか返済金額を抑えないとすると、300万円から100万円へ、200万円の減額となり、一見良さそうに見えますが、実際は返済金額の減額幅が不十分になります。

 

銀行と粘り強い交渉を行い、0円近くまで返済を抑えるべきなのです。

 

リスケジュールした減額後の返済金額でも、それを賄っていくだけの現金を事業で稼ぐ力が企業になければ、すぐに資金繰りは詰まります。

 

中途半端なリスケジュールを行わずに、一気に返済金額を抑えることが、資金繰りを回すためには重要です。

 

なお資金繰りが厳しい企業が、資金繰りを回すことを目的として返済金額を抑えるために、リスケジュールではなく借り換えによる一本化のやり方を取っても、リスケジュールほど返済金額を抑えることはできません。

 

銀行の審査が通って借り換え時に融資を増額できるのであれば、資金調達と返済金額の減額が同時にできるので、それで資金繰りが回るのであれば、リスケジュールを踏み込む必要はありません。

 

しかし、銀行の審査でこれ以上の融資増額ができないのであれば、既存の融資と同時で借り換えをして返済金額を中途半端に抑えるのではなく、リスケジュールを行うことにより、一気に返済金額を抑えるようにしましょう。

 

そして、1年なら1年と期限を決めて事業改善に努めるべきです。

 

そこで貯めた手元資金をもとに売上向上や事業内容の改善などを進め、筋肉質な企業体にすることが良いかと思います。

 

もう1つ注意点があるとすれば、リスケジュールをしてしまえば、金融機関からの運転資金での融資は困難となります。

 

1年間の資金繰りをしっかりと作成し、計画的に会社経営を行ってください。

 

また、リスケジュールをした後、通常弁済が開始されてもすぐに金融機関からの借入ができない可能性があります。

 

あらかじめ、リスケジュール後の通常弁済が開始されて少なくとも半年程度の資金繰りも併せて作成されることをお勧めします。