リスケジュールが継続できない場合の対処法(2)
カテゴリ:その他
コラム「中小企業と金融機関」銀行取引対応編
今回のコラムは「リスケジュールが継続できない場合の対処法」です。
会社分割・第二会社方式
会社をGood会社、Bad会社に分割し、Bad会社に金融機関債務などを残し、Good会社に利益を生み出せる事業や事業継続のための売掛金・買掛金などを移し、Good会社で再生していく方法を、第二会社方式と言います。
これは、金融機関など債権者の承諾なしにとれる方法ですので、金融機関の知らないところで会社分割をし、後に金融機関に報告に行くことも可能ですが、ただ金融機関には詐害行為取消権があります。
民法第424条 詐害行為取消権 第1項 債権者は、債務者が債権者を害することを知ってした法律行為の取消しを裁判所に請求することができる。ただし、その行為によって利益を受けた者又は転得者がその行為又は転得の時において債権者を害すべき事実を知らなかったときは、この限りではない。 |
事業再生の実務では、はじめに会社分割を行って後に金融機関に報告し、Bad会社に残った金融機関債務はGood会社からBad会社への支払い
(Good会社からBad会社への顧問料、事務代行料など何らかの名目を作ります)
によって得られる収益で少しずつ返済する、ということを金融機関に説得するのですが、金融機関としては、利益を生み出せる事業がGood会社に移転することにより今後の返済見通しが困難になり、事実上は債務とばしであると考えることから、詐害行為取消権を行使してくることが多いです。
それが裁判所で認められると、会社分割は取消されることになってしまいます。
そもそも、債権者である金融機関の同意なしに行うという道義上の問題があります。
そのため、この方法を使う場合は、金融機関の事前同意をとる方法をとることが望まれます。
金融機関としては、いかに少しでも多く回収をはかるかを考えますので、この方法が金融機関にとって最も多くを回収することが見込まれることを、説得する必要があります。
また、中小企業再生支援協議会でも、再生への手段としてこの方法を検討し、金融機関の調整を行ってくれますので、再生支援協議会への持込みも検討してみます。
破綻して別会社で再起をかける
中小企業の法的整理方法は、大きくは「民事再生」と「破産」に分けられます。
民事再生
民事再生とは、財務状況が苦境にある債務者の事業の再生を目的とするものであり、民事再生法に定められています。
再生手続きの開始決定は、再生手続きの申し立てがあってはじめてなされます。
再生計画案が作られ、債権者集会が開かれます。
再生計画案の内容の中心は、債権者への弁済計画です。
そこでは債務をどれだけの割合でカットするか、どれぐらいの期間で弁済完了するかなど、全ての債権者に平等になるように決めます。
再生計画案は債権者集会の出席者の多数決により同意される必要があり、同意され、裁判所でも確認されて、初めてその再生計画が認可されます。
その後は再生計画に従って事業を行いつつ、債務の弁済をしていきます。
また民事再生を使う場合、スポンサーをあらかじめ探しておき、民事再生後、再生に向かっていけるようにあらかじめ計画を組み立てておくことが多いです。
破産
破産とは、債務者が経済的に破綻して、その債務の債権者に対して弁済できない状態にある時、裁判所が債務者の財産を管理し、換価して、債権者に公平に配分することを言います。
破産法に定められています。
破産すると企業は当然、継続できないため、なんとしてでも経営者が事業を続けたいのなら、あらかじめ別会社を作っておいてそこに事業を移しておくか、破産後新たに会社を立ち上げるなどします。
なにはともあれ、金融機関からリスケジュールの継続が困難と言われた際は、顧問の税理士や事業再生を専門で行っている会社などへご相談下さい。
安易に会社分割や法的手続きを取らずに、まずは事業の継続の可能性を探ることをお勧めします。