銀行が融資を絞ろうとする時の行動 2/2
カテゴリ:銀行融資
今回は「銀行が融資を絞ろうとする時の行動」についてお伝えします。
リスケジュールを銀行から勧めてくる
リスケジュール、つまり既存の融資の返済金額の減額、猶予を銀行自ら勧めてくる。
以前なら、このようなことはありえなかったのですが、
平成21年12月に中小企業金融円滑化法が施行されて以来、
リスケジュールという手法は広がりました。
企業からの申し出だけでなく銀行からリスケジュールを
勧めることも多くなったわけです。
リスケジュールを銀行から勧めてくるのは、銀行は新規の融資を
その企業に出せなくなったことを意味します。
銀行は新規の融資を出すことができない。
だからといってその企業は、利益を上げて得た現金から既存の融資の返済を行う力もない。
そうするとすぐに資金不足が陥ってしまう。
そこを見越し、銀行は自ら、企業にリスケジュールを勧めてくるのです。
新規融資の金利を今までより高くする
債務者区分、つまり銀行が融資先企業に付けているランクが悪い企業は、
銀行は、融資に応じて引き当てている貸倒引当金を多く積まなければならなくなります。
そうすると、銀行の利益は減少することになるため、
それを少しでも補てんしようと、その企業への融資金利を引き上げます。
既存の融資金利は引き上げにくくても、新しく出す融資の金利は、
今までの金利水準より高くすればよいわけです。
さらに、
既存の融資の金利の引上げを銀行から要求してくる場合。
今の時勢では金利は低下傾向にあるところ、そこを引上げ要求されるのは、
尋常ではありません。
債務者区分が悪くなったから銀行は金利の引上げにかかっている、
と考えて間違いないでしょう。
融資を渋る
今までは簡単に融資が出たのに、最近は融資を渋るようになってきた。
融資の金額が希望どおり出なくなってきた。
このケースでは、当然銀行はその企業への融資を絞るようになってきています。
なお、銀行に融資を申込んで、よくある言われ方の一つに
「次の決算書が出てから考えましょう。」があります。
この言われ方は、私も銀行員時代、よく使っていた断り文句です。
次の決算書が出てからまた申込もうと期待をせず、
こう言われたら次の資金繰り対策を早くうっていくことが大事です。
追い貸し
しかし
銀行は、業況が厳しくなっている企業へも、融資を全く出さないわけではな
く融資を出すことがあります。
これを追い貸しと言います。
新規融資を出さずに、その企業が資金不足に陥って倒産となったら、
既存の融資は返ってこなくなります。
そうなると銀行としては既存の融資が貸し倒れてしまうので、そうならないよう、
メイン銀行がその企業へ、資金不足に陥らないように追い貸しするのです。
しかし
追い貸し状態で融資が出ているのでしたら、
将来、銀行が全く融資を出さなくなる時も想定しておく必要があります。
銀行は追い貸しを繰り返すことができるわけではありません。
銀行は、その企業への既存融資が返ってくることをあきらめる時があります。
そうなった場合、銀行はその企業の倒産を想定し、追い貸しはやめることになります。
追い貸しを受けられている時こそ、企業はしっかり経営改善を行って、
銀行が安心して新規融資を行うことができるようにしていかなければなりません。
銀行が融資を絞ろうとする時にどういう行動に出るかを述べました。
そのような行動が出た時は、銀行はその会社のことを警戒し出していることでしょう。
そしてその会社の業況は芳しくないことでしょう。
その場合、
どのように経営改善を行って、業況を良くしていくのか、
計画を立て銀行に説明していく必要があります。
経営者は常に金融機関の言動や行動に気をつけ、早め早めの対応が必要となってきます。
以前のコラムでもお伝えしましたが、
経営改善への取り組みは早ければ早い方が改善を行いやすいものです。
最低でも3ヶ月に1回、試算表を眺め、前年対比での増減など
数値で大きな乖離があるものに対しては原因を追究していくようにしてください。
そして、何か不明点があれば顧問の税理士などの第三者の意見を
聞いてみることも1つの方法かもしれません。
「転ばぬ先の杖」という考え方で経営を行ってみてください。
こちらも併せてお読みください。
↓ ↓ ↓