銀行取引一覧表を銀行はなぜ作成するのか 1/2

カテゴリ:銀行融資

 

 

ここでは「銀行取引一覧表を銀行はなぜ作成するのか」についてご紹介します。

 

 

銀行取引一覧表

 

 

銀行が、融資先企業の資料で必ず作っているものの一つに、

銀行取引一覧表があります。

 

 

銀行取引一覧表とは、

融資を行っている銀行ごとに、数カ月ごとに借入残高を記録したものです。

 

 

なお銀行は、

3ヶ月ごとに、融資先企業から、他の銀行の融資残高を聞くのが一般的です。

 

 

また融資残高は、

・短期融資(返済期間1年以内)

・長期融資(返済期間1年超)ごとの残高

・手形割引の極度額

・残高を

聞きます。

 

また預金残高(普通預金・当座預金と定期預金の別まで)や

毎月返済金額、利率まで聞く銀行もあります。

 

 

なぜ銀行は、企業からこのようなことを聞くのでしょうか。

 

 

それは、

銀行別の融資残高推移を時系列で並べて分析することにより、

その企業への融資スタンスを決める材料の一つとするためです。

 

 

銀行は、銀行取引一覧表から何を読み取るか

 

 

銀行別の融資残高推移を時系列で見ると、それぞれの銀行が、

その企業に対し、融資が積極的か、消極的かが分かります。

 

 

しばらく融資をしていない銀行は、その企業に対する融資を

絞っている可能性がありますし、融資残高が以前に比べて増加している銀行は、

その企業への融資スタンスを積極的にしている可能性があります。

 

 

特に、融資残高が最も多い銀行(通常、メイン銀行と呼ばれます)の

融資残高の推移を、融資シェア下位の銀行は気にします。

 

 

メイン銀行が以前に比べて融資残高を減少させているのであれば、

メイン銀行の融資スタンスは消極的になっていることが読み取れるため、

下位の銀行は、警戒するようになります

 

 

警戒されれば、融資審査は通りにくくなります。

 

 

メイン銀行は、その企業からの情報を多くつかんでいるものであり、

その銀行が融資に消極的であると、メイン銀行は、何かその企業の悪い情報を

つかんでいるのではないか、と他の銀行は気にします。

 

 

また銀行取引一覧表は、短期融資、長期融資、手形割引に分かれていることも特徴です。

 

 

例えば、

ある銀行で、ずっと短期融資20百万円の残高があれば、

それはころがし手形貸付(1年以内の返済期限で、途中返済がなく、

期限が来たら同額で借換え(ころがし)する手形貸付)と思われます。

 

 

それが、ある時、短期融資の残高20百万円が10百万円になったら、

その銀行から、ころがし手形貸付の返済を求められて返済した、

ということが想像されます。

 

 

そうすると他の銀行は、警戒してくるようになります。

 

 

また、長期融資が減少して短期融資が増加している場合。

 

通常は長期融資より短期融資の方が、返済期間が短いことから

銀行のリスクは低いため融資審査はゆるいものです。

 

 

その銀行は今まで長期で出していた融資を、融資スタンスを引き締めて

短期にシフトしているのではないか、ということが読み取れます。

 

 

特にメイン銀行においてその傾向がある場合は、

下位の銀行は大いに警戒してくることになります。

 

 

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