銀行取引一覧表を銀行はなぜ作成するのか 2/2
カテゴリ:銀行融資
ここでは「銀行取引一覧表を銀行はなぜ作成するのか」についてご紹介します。
銀行取引一覧表を時系列で見る
銀行取引一覧表は、数年の時系列で見られます。
3ヶ月ごとの推移である短期間での推移とともに、1年前は、2年前は、3年前は
それぞれの銀行の融資残高はどうであったかという長期間での推移を見られる
ことによって、長期間で、それぞれの銀行での、その企業に対する融資スタンスは
どういう傾向であったか、が分かることになります。
この1年では特に融資残高が減少していない銀行でも、3年間では融資残高が
減少しているのであれば、その銀行は、意識的に担保評価金額内に融資残高を
少なくしていき、それが成功したのではないか、ということを
他の銀行は想像するかもしれません。
その他銀行取引一覧表の金融機関の見方
その他、銀行取引一覧表により次のようなことも銀行は考えます。
●優良企業で各銀行は融資スタンスを積極的にしている場合、
その企業への融資シェアアップが実現できているか、ライバルの銀行に負けていないか。
●融資シェアを増加するために、他の銀行で、借換えを提案できそうな融資はないか。
●無担保のころがし手形貸付から信用保証協会保証付の長期融資に切り替えたように、
短期融資から長期融資に切り替わったとはいっても、実態は銀行の保全が強化された
動きではないか。
●取引銀行の数が増えたのであればメインバンクの動きはどうか。
メインバンクが融資を絞っているから企業は取引銀行を増やさざるを
えなかったのではないか。
●取引銀行が減ったのであれば、なぜその銀行は融資取引を解消したのか。
企業が新たな融資を断ったからなのか、それとも銀行が新たな融資を断ったからなのか。
●企業から提出される銀行別の融資残高と、決算書の借入金の数値は合っているか。
(合っていない場合は粉飾決算が疑われる)
このように、銀行取引一覧表から、銀行員はいろいろなことを読み取ろうとします。
日頃、企業が何気なしに銀行に提出している銀行別の融資残高表も、
それを時系列で分析されることによって、銀行はいろいろな想像をすることになります。
銀行の、ある企業への融資スタンスを決めるにはいろいろな要素がありますが、
銀行取引一覧表から読み取られる、他の銀行の動きも、その要素の一つとなります。
時系列で銀行取引一覧表を作ってみてください。
各銀行はその表からどのようなことを読み取るか、
またそれが、それぞれの銀行の融資スタンスにどのような影響を及ぼすか、
想像してみると、なぜその銀行が自分の会社を警戒するのか、なんとなく分かるかもしれません。
また、「取引金融機関の残高が減ってきたから、折り返し融資を受ける」や
「保証協会の枠がこの時期にこれだけ減るから折り返し融資を受けよう」、
「ここの金融機関を一本化しよう」など、銀行取引一覧表兼支払一覧表を作ることで
財務戦略(金融戦略)を立てることも可能になります。
ちなみに銀行取引一覧表兼支払一覧表のサンプルを添付しておきます。
こちらをクリック
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こちらで、各金融機関の
「融資残高」、「年間支払元金」「年間支払利息」「年間返済額合計」
なども確認できます。
事業計画書作成の際にも役に立ちますので、ご利用ください。
こちらも併せてお読みください。
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