売掛債権増加で資金繰りが厳しくなるとは?
カテゴリ:資金繰り
コラム「資金繰り改善のポイントとは」
「緊急事態の資金繰り対応」についてです。
「資金不足の原因と解決策」編
今回は「資金繰り改善のポイント 売上債権増加で資金繰りが厳しくなるとは?」
についてお伝えします。
立て替えている金額を把握しよう
売掛金や受取手形などの売掛債権は、金額が増加すると、それだけ多くの現金を自分の会社が
立て替えることになり、資金繰りが厳しくなります。
では、どうやって、売掛債権が増加していることを知るのか?
3期分以上の、売上と売掛債権の推移を並べて比較してみます。
3期以上並べる指標としては
「売上高(年商)」「売上高(月商)」「売掛金」「受取手形」
「売掛債権合計」「売掛債権月商倍率(売上債権合計額÷月商)」
「売掛金月商倍率(売掛金÷月商)」
「受取手形月商倍率(受取手形÷月商)」
売上債権月商倍率とは、月商に比べて何ヶ月分の売掛債権(売掛金+受取手形)があるかを
表すものであり、この数値が大きいほど、売掛金として立て替えている金額が大きい、
ということになります。
売掛債権を売掛金と受取手形に分け、それぞれの月商倍率でも見ていきます。
これらの数位が年々大きくなっているのであれば、その分、立て替えている金額が大きくなり、
資金繰りが厳しくなります。
売掛債権が大きくなり資金繰りが厳しくなる理由は以下の通りです。
1.売上債権が回収になるまでの期間が平均で長くなっている
2.なかなか回収ができない売上債権がある
それでは個別に見ていきましょう。
売上債権が回収になるまでの期間が平均で長くなっている
売上発生→売上を締まる→請求書発行→売掛金回収
(→売掛金の中で、受取手形で回収したものがあれば、受取手形の支払期日に回収)
という流れになりますが、売上発生してから売掛金回収となるまで、もしくは売上発生してから
売掛金を経て受取手形として回収となるまでの回収期間が、全売上を平均して長くなってくると
資金繰りが厳しくなっていくことが考えられます。
各得意先を分けて、回収期間がなぜ長くなったのかを分析し、長くなった得意先と回収期間の
見直し交渉をするなど、対策を考えて実行していきます。
なかなか回収できない売掛債権がある
予定していた売掛債権が入金されないと資金繰りが悪化します。
当社に相談にこられる経営者の方も、そもそもの資金繰り悪化の原因は取引先の倒産や
売掛債権の回収ができないというケースが殆どです。
締切日に入金されず、何回も督促しているような、なかなか回収できない売掛債権が
発生している可能性があり、それを発見していきます。
そして回収できない売掛債権を早く回収する方法はないか、弁護士などへ相談し、
実行していきます。
売掛先のリスク管理とは
売掛債権の回収に関しては具体的に以下の2点で事前にリスク管理していきましょう。
1.倒産防止共済
2.売掛債権保証
「倒産防止共済」に関しては取引先が倒産した際に倒産した売掛債権の補填を
無金利でしてくれます。
「売掛債権保証」に関しては、各損害保険会社で対応していますが、売掛債権の
回収見込みが無い際に補填してくれます。
「倒産防止共済」が「倒産」しないと補填できないことに比べて、商品によりますが、
「売掛債権保証」は相手方が倒産をしていなくても適用できるので使い勝手はいいです。
受取手形のリスク管理とは
また受取手形は、手形割引や手形の買取業者へ買い取ってもらい現金化されてすぐに
現金として使えるようになります。
そのため手形割引できる企業であったら、受取手形はすぐに現金化するようにします。
売掛金だけでもこれらのことを考えて資金繰りを改善していきたいところです。
ただ手形割引したとはいっても、その手形が万が一不渡りになったら、手形割引を行った
金融機関から買戻ししなければならないリスクもあるため、受取手形は多く保有しないように
したいものです。
また、長年の商慣行上、仕方なく手形の取引が多く受取手形での取引をしなければならず、
手形のリスクが気になる経営者の方は、手形の買取(ファクタリング)を検討してみて下さい。